QUICK ANSWER

先に結論

下塗り材は、仕上げ塗料の前に塗る「土台づくりの塗料」です。上塗りを付きやすくする、吸い込みを整える、シミを止める、さびを抑える、細かな凹凸を整えるなど、製品ごとに役割が違います。

  • 上塗り缶に専用下塗りの指定があれば、その指定を守ります。
  • 「下塗り不要」「直接塗れる」と書かれ、今の面も条件を満たす場合は、省けることがあります。
  • 粉、さび、シミ、つるつる、穴・ひびは、それぞれ選ぶ材料と先に行う処理が違います。
  • 雨漏り、崩れる下地、大きな割れ、古い不明建材の研磨、高所作業は、塗り始めずに止まります。

最初に、上塗り缶の5か所を見る

下塗り材を先に買うのではなく、仕上げに使う上塗り塗料を決め、その缶や商品ページを確認します。同じ「壁用」「金属用」でも、塗れる素材と必要な下処理は商品ごとに違います。

  1. 塗れる物:ビニール壁紙、コンクリート、木、鉄など、塗る素材の名前があるか
  2. 塗れない物:床、常に水がかかる場所、特殊加工面などに当たらないか
  3. 下地処理:専用シーラー、さび止め、研磨、補修などの指定があるか
  4. 塗り重ね時間:何時間待ってから上塗りするか。上限も書かれていないか
  5. 指定上塗り・下塗り:組み合わせ可能な商品と、水性・油性・ラッカー等の条件
「水性の上には水性なら大丈夫」とは決めません。

上塗りと下塗りの相性だけでなく、下塗り材と素材の相性も必要です。初心者が最も迷いにくいのは、上塗り商品の説明に掲載された推奨下塗りを選ぶ方法です。

説明に必要・不要の記載がなく、素材や古い塗膜も特定できない場合は、適当な万能シーラーを足さず、メーカーへ確認します。

触って、今の面を7つに分ける

商品表示を読んだら、乾いた面を明るい場所で見て、手袋をした手で軽く触ります。次の表は商品を断定する診断ではなく、どの説明欄へ戻るかを決める入口です。

見た状態・触った状態そのまま塗らずにすること
手に白い粉が付く浮いた粉や弱い旧塗膜を除去し、上塗り指定の浸透・補強用シーラーを確認する
砂や繊維がポロポロ落ちる砂壁・せんい壁用の下地押さえを確認する。軽く触るだけで崩れるなら作業を止める
表面がつるつるしているその素材用プライマーと研磨指定を確認する。自己判断で削らない
さびがある浮きさびと汚れを落とし、鉄用さび止めの指定を確認する
黄ばみ、ヤニ、木のアク、古い雨ジミがある汚れを落として乾かし、シミ止め用下塗りを確認する。現在の漏水は先に直す
穴、へこみ、段差、ひびがある適合する補修材やパテで先に直す。液状シーラーで穴を埋めようとしない
きれいで固い旧塗膜上塗りが直接塗装を認めているか確認する。認めていれば下塗りを省ける場合がある

特殊な壁紙、プラスチック、以前の塗料が不明な面は、目立たない小範囲で色、乾燥、密着を確認します。試し塗りが乾かない、はじく、縮む、簡単にはがれる場合は、本施工へ進みません。

必要な場合と、塗らなくてよい場合

必要になりやすい

  • 上塗り商品が専用下塗りを指定している
  • 吸い込みやすいコンクリート、モルタル、石こうボード、砂壁など
  • 清掃後も表面が弱く、対応する補強用シーラーが指定されている
  • 裸の鉄部やさびを処理した鉄部
  • 対応品が必要なアルミ、ステンレス、プラスチック等
  • ヤニ、アク、シミの染み出しを抑えたい
  • パテ補修部と周囲で吸い込みが違う

不要なことがある

  • 上塗り商品に「下塗り不要」「直接塗れる」と明記されている
  • その商品の条件どおり、旧塗膜が固く、清潔で、乾いている
  • さび止めと上塗りを兼ねる商品を、指定条件で使う
  • 木目を生かす浸透性ステインなど、汎用下塗りが仕上げを妨げる
  • 専用塗装仕様が、特定の素材にはシーラーを使わないよう指定している

「塗った方がよい?」への答えは、必要なときに、合う物を塗る方がよい、です。不要な面へ別用途の下塗りを足すことは、安心の上乗せにはなりません。

木部でも答えが分かれる例

木目を隠してペンキで仕上げる場合は、木部用下塗りで吸い込みやシミを抑える製品があります。一方、木へ染み込ませるステインや木目を見せる透明仕上げでは、その下塗りが不要・不向きになる場合があります。「木だから同じ」ではなく、最後の仕上げまで一組で考えます。

刷毛とローラーで塗る基本手順

一般的な壁用シーラーなら、広い平面はローラー、角・端・狭い所は刷毛が基本です。ただし、粘度の高いフィラー、金属用、プラスチック用、スプレー品などは道具が異なります。商品が指定する刷毛、ローラー、コテ、希釈液を優先してください。

道具使う場所・役割
ローラーとトレイ壁などの広い平面。しごき面で含ませる量を均一にする
水性用・油性用の刷毛角、端、入り隅、細い部材。塗料の種類に合う物を選ぶ
ヘラ穴・へこみへの補修材やパテ。シーラーを塗る道具ではない
指定ローラー・コテ厚いフィラーや凹凸仕上げ。ウール、砂骨などの指定を確認する
撹拌棒・計量具缶底から混ぜる。2液型は指定比率と可使時間を守る
  1. 養生する:床、窓、巾木、家具を覆い、換気経路を確保します。
  2. 掃除・補修・乾燥:ほこり、油、浮き塗膜、さび、カビを商品指示に従って処理します。
  3. 試し塗りする:目立たない場所で乾燥、密着、はじき、変色を確認します。
  4. 指示どおり準備する:撹拌、希釈、2液の混合を容器表示どおりに行います。
  5. 端から塗る:角と端を刷毛で先に塗り、広い面をローラーで均一に塗ります。
  6. 指定量で止める:厚く塗れば強くなるとは考えず、塗り面積・回数・希釈率を守ります。
  7. 塗り重ね時間まで待つ:触って乾いた時刻ではなく、表示された上塗り可能時間を使います。
「乾いたように見える」と「上塗りしてよい」は別です。

日本ペイントの製品例には、23℃で指触乾燥20分でも、塗り重ねは2時間以上7日以内という物があります。温度、湿度、通風、塗布量、下地でも変わるため、共通の待ち時間は置けません。

水性・低臭でも換気し、手袋、保護眼鏡、長袖を使います。必要な呼吸用保護具はSDSに従い、普通のマスクを着けただけで安全になったとは考えません。油性塗料等が付いた布や紙は、重ねたり袋へ入れたまま放置すると発熱・発火する可能性があるため、商品表示と自治体の方法に従って処理します。

シーラー・プライマー・フィラーの違い

名前を暗記するより、「何を直す物か」を商品欄で確認します。ニッペホームプロダクツの公式用語集では、プライマーを下塗りに用いる塗料の総称、シーラーを密着や吸い込みむらを整える材料、フィラーを段差や巣穴の面調整に使う材料と説明しています。

プライマー

最初に塗る下塗りの総称として使われます。商品名では、金属やプラスチック等の密着を助ける専用品にも多い言葉です。

シーラー

吸い込みを整え、上塗りとの密着を助けます。下地補強、アルカリ止め、ヤニ止め等は、その機能が表示された製品だけの働きです。

フィラー

液状シーラーより厚みがあり、細かな巣穴や段差を整える材料です。大きな割れや動くひびを直す万能補修材ではありません。

さび止め・シミ止め

鉄の腐食や、ヤニ・アク・シミの染み出しを抑える目的別の下塗りです。原因となる水漏れや汚れの除去は別に必要です。

一つの製品がシーラーとフィラーの機能を兼ねる例もあります。逆に、「プライマー」という名前でも使える素材が限られる例があります。商品名だけで別製品へ置き換えないでください。

この状態なら、塗る前に止まる

  • 水漏れ・常時湿潤:雨漏り、結露、配管漏れが続いている。下塗り材で水の原因を封じ込めない。
  • 下地が崩れる:掃除後も壁材がボロボロ落ちる、押すと柔らかい、旧塗膜が広く浮いている。
  • 危険なひび:幅のある割れ、斜めに伸びる割れ、何度も開く割れ、割れから水が入る。構造や漏水を先に点検する。
  • 古い不明建材を削る:石綿含有の可能性を確認できない壁・天井・外壁・仕上塗材を、研磨、切断、ワイヤーブラシ処理しない。
  • 高い場所:屋根、はしごに乗ったままの作業、身体を乗り出す必要がある場所。はしごを作業台にしない。
  • 素材・相性が不明:プラスチックの樹脂名、古い塗膜、特殊加工面が分からず、メーカーも適合を確認できない。
  • 安全条件を守れない:換気できない場所での強溶剤、必要な保護具が用意できない吹付け、扱い方が分からない2液型。
  • 体調に異変:頭痛、めまい、息苦しさ、目・喉への強い刺激が出たら直ちに中止し、新鮮な空気の場所へ移動してSDSの応急措置に従う。
古い面は、削る前に確認します。

環境省は、建築物の解体・改修作業で石綿含有建材の有無を事前に調べる必要があり、石綿含有仕上塗材も対象になると案内しています。築年や見た目だけで「入っていない」と決めません。

買い物メモは、商品名より確認欄を埋める

店へ行く前に、次のメモを写真と一緒に用意します。分からない欄を想像で埋めず、そのまま店員やメーカーへ見せます。

  • 塗る場所:室内壁、外壁、木製家具、鉄柵など
  • 素材:ビニール壁紙、石こうボード、モルタル、木、鉄、樹脂名など
  • 現在の状態:粉、崩れ、さび、シミ、つるつる、旧塗膜、補修跡
  • 使う上塗り:メーカー、商品名、色、容量
  • 指定下塗り:商品名、対応素材、対応上塗り、塗り回数
  • 塗り面積と塗布面積:下塗りは上塗りと別商品・別面積表示で計算
  • 乾燥・塗り重ね:気温別の時間、上限、雨や湿度の条件
  • 道具:対応する刷毛、ローラー、トレイ、撹拌棒、ヘラ
  • 養生・安全:テープ、マスカー、床シート、手袋、保護眼鏡、SDS指定の保護具
  • 片付け:指定洗浄液、残材の保管、自治体の廃棄方法

店での伝え方

「室内のビニール壁紙を、この水性壁用塗料で塗ります。手に粉は付きませんが、古いヤニがあります。この商品の指定下塗りと、塗り重ね時間を確認したいです」のように、場所・素材・状態・上塗りを一緒に伝えます。

下塗り材の必要量は、上塗り塗料とは別の塗布面積と回数で計算します。必要かどうかと商品が決まってから、ラベルの「1回塗り○m²」を塗装面積へ照合してください。

NEXT STEP

実測値で買い出し数量を確認

用語と入力値を確認したら、計算ツールで必要量と購入単位を計算できます。

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SOURCES & REVIEW

出典と確認

本文は材料ヨミ編集部が一次資料と材料ヨミの計算式を照合し、表示する例の単位・丸め・適用範囲を2026年8月3日に確認しました。次回の出典確認期限は2026年11月3日です。サイト全体の出典と更新状況も公開しています。